宮城県立高校入試・社会の合格勉強法
過去問の内容を踏まえながら、問題ごとの具体的な解法や戦略的勉強方法について述べます。
1社会の問題構成と概略
宮城県立高校入試・社会の問題構成は以下の通りです。
第一問 | : | 歴史・公民 |
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第二問 | : | 日本地理(記述問題あり) |
第三問 | : | 古代~近世(記述問題あり) |
第四問 | : | 公民(記述問題あり) |
第五問 | : | 世界地理(記述問題あり) |
第六問 | : | 公民(記述問題あり) |
宮城県の高校入試は、取り組みやすい問題が多いです。 教科書をベースに、基本的な知識問題は落とさないように勉強していくことがとても大事です。 加えて、記述問題の比重が大きいので、これをいかに得点源に出来るかが合否のカギとなります。
参考書のご紹介
また、入試問題を解くのに必要な事柄を分かりやすくまとめて記載している「参考書」をここでご紹介しますので、合わせてご覧下さい。この本を読んで中の問題を解けば、中学校の3年間で生じた知識の穴を比較的短い時間で埋めることができます。
文理 1,210円(税込)
2社会の勉強
社会は、他の科目に比べて暗記の要素がとても大きい科目です。 皆さんは、暗記が得意でしょうか?
私は、昔からただただ単純作業でこなしていく丸暗記というものがどうにも苦手で、どうにか面白おかしく暗記しようと、メモリーツリーを作ってみたり歴史漫画を読んでみたりと色々なことをしていました。
「単純記憶をどれほど意味記憶に変換することが出来るかが、頭への定着度に関わる」というのが私の持論です。
3歴史の記憶
歴史は、過去の人物の物語です。 ですから、年表の出来事の上下関係には因果があることが多いです。 ある人物が事件を起こしたら、「それはどうして?」・「どういう背景の人なのかな?」と考えることをお勧めします。 例えば、2022年度の第三問2の並べ替え問題を見ましょう。
問:日本の中世の戦いについて述べた次のア~ウの文を起こった年代の古い順に並べ替え、記号で答えなさい
ア. | 幕府に不満を持つ武士を味方につけた後醍醐天皇が兵をあげ、幕府を倒した。 |
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イ. | 南朝と北朝に分かれて対立していた朝廷が統一され、長く続いた動乱が収まった。 |
ウ. | 幕府に忠誠をちかった武士がモンゴルの襲来に対して防衛のために戦った。 |
歴史の流れを覚えていれば
歴史の流れを覚えていれば、この問題は解くことが出来ます。 中世ですから、鎌倉幕府が誕生してから滅ぶまでの物語です。 鎌倉幕府の時代には、日本の存亡の危機が訪れました。 それは、モンゴルの襲来です。
一人ずつ名乗りを上げながら戦う武士たちに、モンゴル人は容赦無く集中砲火を浴びせました。 「日本を守れ!」・「いざ鎌倉!」と武士たちは一丸になって戦い、その思いは天にも通じ、あくる日の朝ついに武士たちはモンゴル人を蹴散らすことに成功したのです。
しかし、それは鎌倉幕府崩落の始まりでもありました。 当時の鎌倉政府は封建制度を採用していて、手柄をあげた武士に対して敗者である武士の土地を与えるというものでした。しかし、モンゴルに勝ったところで得られる土地がありません。 武士の間では、不満が膨れ上がる一方でした。
そこに目をつけたのが、以前に2回ほど倒幕をもくろみ失敗して隠岐に流されていた人物である後醍醐天皇です。 彼は、当時有力な武将であった足利尊氏を味方につけて倒幕に成功し、建武の新政という新しい政治体制を作りました。
しかし、武士の力が強くなってしまった時代に、後醍醐天皇の理想とした天皇中心の体制はそぐわないものでした。 再び武士の不満が溜まっていく中で、足利尊氏は新しい政府を作ることを決意し、追われる身となった後醍醐天皇は吉野へ身を隠すこととなりました。
足利尊氏の政府には三種の神器が伴わないため、後醍醐天皇が自分の方が正当な天皇だと主張し出したことが南北朝時代の始まりです。これは、三代将軍足利義満によって統一されるまで続きました。
記憶の定着度も高まる
長くなってしまいましたが、このように物語としてまず歴史の流れを掴んでから要所要所の細かい年号を覚えるようにすると、歴史は一段と面白くなりますし記憶の定着度も高くなります。 歴史漫画を読むこともお勧めです。
4地理の記憶
地理って情報量が多いと思いませんか? 地形・気候・動植物の分布・産業・文化・地域の歴史に至るまでの幅広い情報を、学校では詰め込まれます。 歴史は時系列の垂直方向の因果関係を考えろと上で書きましたが、地理は逆に、時間軸を現在に固定して、その横断面での因果関係を見る学問です。 今、そこに住んでいる人にとって大事な情報とも言い換えることができます。
例えば、2022年度の第二問1で扱われた鹿児島県の地理について考えてみます。
問:鹿児島県の地形・産業の関わり
鹿児島県には、中央に桜島という活火山があります。 火山なのになぜ島とついているのでしょう? それは、かつては島であったのが、1914年の大正噴火で流れた溶岩によって海峡が埋め立てられてしまったからです。
それほど活動的な桜島は、鹿児島の産業に大きな影響を与えています。 火山灰が降り積もってできた桜島の土地は、シラスと呼ばれる水捌けの良い灰白色の土の層が広がっています。
シラス台地は酸性で有機物が少なく痩せていて、肥沃な土壌を必要とする米のような作物には向いていません。 そこで育てられてきたのが、江戸時代に琉球から輸入されてきたさつまいもでした。 現在鹿児島の名産品となっているかごしま黒豚は、肥育後期にさつまいもを10〜20%添加した飼料を60日以上給与していることが条件となっています。
いかがですか? 情報がつながると、地理はとても面白くなります。 基本的に教科書ベースで勉強するべきですが、地理に苦手意識がある方は、一つの地域にフォーカスを当てて考えてみて下さい。
5公民の記憶
公民とは、法律の歴史です。 法律はその国の歴史と地理を受けて設定されるものですから、公民は歴史と地理がわかっているほど簡単に頭に入るというのが私の持論です。 もちろん丸暗記しなくてはいけないワードは多いですが、自分が今まで習ってきたことと結びつけていくと公民も覚えやすくなります。
また、ニュースや新聞など時事に積極的に興味を持つようにすることも有効です。 公民の知識を踏まえた上で新聞を読んでみると、ぐっと身近なものに感じられると思います。
6記述式解答の書き方
入試問題の記述問題では、資料が与えられて読み取る問題が多いです。 必ず各資料が事実の情報が書いてあるのか結果の情報が書いてあるのかと、その因果関係を明確にして下さい。 こういった事実(理由)があるため、こういう結果になった。という因果関係になっていることが多いです。 具体的な問題を見てみます。
2022年度第二問2(2)
問:宮城県が策定した農業計画にはどのような狙いがあったと考えられるか
資料D: | 宮城県防災営農計画(早期に農作物を収穫できる制度の導入) 第四次農業振興長期計画(宮城牛などのブランドを確立する) |
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資料E: | 台風による宮城県の被害 |
資料F: | 牛肉の国内生産量に比べて輸入量が大きく増えている |
今回の資料の中では、資料EとFが事実の情報です。 それらが資料Dの結果にどうつながるのか考えます。 以下のように図示すると、より分かりやすくなると思います。
7最後に
いかがでしたでしょうか? 社会は、興味を持った人がするすると点数を伸ばしていきます。 皆さんも、ぜひ色々な方法で社会の勉強を楽しんでみて下さい。