宮城県立高校入試:国語の合格勉強法
過去問の内容を踏まえながら、問題ごとの具体的な解法や戦略的勉強方法について述べます。
1国語の問題構成と概略
宮城県立高校入試・国語の問題構成は、以下の通りです。
第一問 | : | 漢字の読み・書き・熟語・話し合いの読み取り |
---|---|---|
第二問 | : | 物語文 |
第三問 | : | 説明文 |
第四問 | : | 漢文 |
第五問 | : | 作文 |
宮城県立高校入試・国語の問題は、比較的取り組みやすいです。 簡単な問題をミスなく確実に拾って行くこと、作文の書き方のポイントを押さえて丁寧に書いていくこと、が得点につながります。
2「国語」の勉強って?
皆さん、国語はどうやって勉強していますか? 漢字や熟語は別として、正直「勉強したって成績上がらないじゃん!」と考えている方は多いのではないでしょうか?
実際、それはその通りです。 国語の成績を伸ばすためには、数学のように問題演習量を増やせばいいわけでも、社会のように広大な知識を身につければいいわけでもありません。いわゆる「読解力」・「理解力」が武器となるわけですが、今日はそれらの能力を噛み砕いてご説明します。
3物語文の読み方
A.客観的な視点
「如何に感情移入しないで客観的に文章を読めるか」、物語文を読むときの鉄則はこれです。 私だったらこう思っちゃうかもとか、相手の男は苛立つなあとか、全ては問題を解く上で必要ありません。 むしろ、間違った選択肢を選ばせる原因となってしまいます。 我々の読み取るべきは作問者の意図であることを忘れないで下さい。
B.3つのポイント
こうした客観的な視点を得た上で、物語文を読むときに以下の3つの点に注目して下さい。 「出来事」・「登場人物の気持ち」・「登場人物の行動」です。 全ての物語は、以下の構図になっているはずです。 この登場人物の気持ちの変化こそが物語となり、かつこの心情の変化を捉えられていますか?という点こそが出題ポイントとなるのです。
【物語の構成】
ここで、2022年度の問題をいくつか見てみましょう。 今回の物語は、自分の漫画家の道に限界を覚えた主人公が、同じく漫画の道を諦め似顔絵を書いて暮らす老人の言葉に色々な思いを抱くお話でした。
C.実際の問題検討
第二問・問一:「本文中に『俺も、故郷に帰ったら、似顔絵に挑戦してみようかな』とありますが、亮二がこのように言ったのは何故ですか。最も適切な選択肢を選べ」
状況を下図のように整理します。
【亮二の心情の変化】
ここまで書いてから、改めて問題を読み直して下さい。 なぜ、亮二は『』と言ったのか?答えは図に描いてあります。「同じ境遇の老人の話に納得し、自分も似顔絵を描いてみようと思ったから。」です。
そこで問題の選択肢を見ると、エ「老紳士の話に共感するとともに、似顔絵であれば、自分にも描けるのではないだろうかと思ったから。」を選べば良いと分かります。
第二問・問四:「本文中に『そっか、何度飛び立ってもいいんだな』とありますが、このときの亮二の気持ちを、五十五字以内で説明しなさい。」
今回も、行動(セリフ)に線を引いている問題です。 状況を整理していきます。
【亮二の気持ちの変化】
さて、今回は気持ちCに当たる部分を問われている問題ですが、ここで注意点です。 比喩表現は、意味を明確にして答える必要があります。
- 夢の卵を抱える→夢をあきらめない
- 風を待つ→良い機会がくるのを待つ
- 何度飛び立ってもいい→繰り返し挑戦すればいい→漫画を描き続ければいい
よって解答は、「漫画家の夢をあきらめず、良い機会がくるのを待ちながら繰り返し描き続けようという前向きな気持ち。」などのようになります。
くもん出版 1,540円(税込)
この本には「説明文(論説文)の読み方」も記載されており、そちらでもお薦めの問題集です。
4説明文の読み方
A.段落の構成
「抽象的(まとめ的)な段落と具体的な段落を見分ける」、これが、説明文を読み解く上での鉄則です。
説明文はなぜこの世に存在意するのか? それは、筆者がどうしても読み手に伝えたいことがあるからです。 そして、その主張は往々にして小難しいものです。 ですから、筆者は読み手に分かりやすく伝えるために、具体的な、例えば日常的に体験すること、などを文章に交えながら主張を噛み砕いて説明していくのです。
よって、大抵の説明文は以下の図のような構図になっています。 文章を読んでいきながら、どこが主張に該当し、どこまでがその具体化の部分であるのか指示語に注目しながら読んでいきましょう。 そして、こういった情報整理ができると、抜き出し問題や要約問題に強くなります。
【説明文の構成】
B.実際の問題の検討
2022年度第三問・問二:「本文中に『こうしたことをどんなに繰り返しても、決して対話にはならない。』とありますが、次の文は、『対話』と『会話』について、筆者の考えを説明したものです。□に当てはまる適切な表現を考えて」、二十字以内で答えなさい。」
以下の図に、傍線部の引いてある話題について述べている範囲と主張該当箇所を示します。
【文章の整理】
答えは、基本的に主張該当箇所に隠れています。 これだけ絞れたら、□に入りそうな言葉を探すことは造作ないでしょう。
次に、2022年度第三問・問五のような要約問題は、まず主張部分をピックアップします。 それらを並べて統合・省略の作業をしながら字数内に入るようにどんどん短くしていきましょう。
5漢文の読み方
漢文≒英語!?
漢文に苦手意識を持っている方は、少なからずいます。 しかし、その中に、英語は得意だという方はいらっしゃいませんか? 私は、漢文は英語のようだと思っています。
文の構成が主語→述語→目的語の順番であること、単語を覚えればある程度理解できてしまうところなどそっくりではないですか?という訳で、英語と同じように、教科書に載っている文法と単語を覚えて下さい。
宮城県立高校入試は、単語の意味が分からなくとも書き下し文から十分に内容を推測することが出来るので、本番では焦らずに読んでいきましょう。
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6作文の書き方
2022年度は、俳句に好きな指示語を入れて完成させ、その指示語を用いることによって句全体でどのような情景や心情を表現できると考えたか、を問う面白いテーマでした。 例年とは異なる変化球のようなテーマでしたが、作文のいろはは変わりません。 以下の点をしっかりと抑えて書いていきましょう。
A.文章の骨格を作る
まずは自分の言いたいことを明確にしましょう。そこに具体的な情報を肉付けしていく形で文章を構成します。
B.起承転結を意識する
作文全般に言われることですが、文章構成を考える時、起(文章を起こす)承(起を受けた文章の説明)転(文意を一転させる)結(全体をまとめる)を意識すると文章を書きやすくなりますし、まとまりがとても良くなります。
C.仮の作文解答を書く
文字数を数えてみます。その上で文章のつながりが悪いところや、表現が抽象的でわかりにくいところにどんどん肉付けしていきましょう。
D.無理はしない
無理して難しい漢字や文法を使おうとしないで下さい。 間違えた文法は、場合によっては文章の意味を誤解させることにつながりますし、間違った漢字は減点対象になってしまう恐れがあります。 無理はせず、自分の使い慣れた言葉を用いてください。
E.必ず読み直す
自分が書いた文章は、必ず読み返しましょう。 そうすると、間違えた漢字や文法に気づくことが出来ますし、読みにくいなと思ったところを直すことが出来ます。 自分で書いた文章ですから、自分が読みにくいと思ったものは100%採点者も読みにくいと感じているはずです。
7最後に
いかがでしたでしょうか? 私の文章が、国語の読解に悩んでいる受験生の助けになれば幸いです。