宮城県立高校入試:科目別合格勉強法
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宮城県立高校入試・理科の合格勉強法

 過去問の内容を踏まえながら、問題ごとの具体的な解法や戦略的勉強方法について述べます。

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理科の問題構成と概略

 宮城県立高校入試・理科の問題構成は以下の通りです。

 第一問 小問集合
 第二問 生物(細胞、植物の体の作りと働き)
 第三問 地学(天体の1日の動き、天体の1年の働き)
 第四問 物理(力の働き)
 第五問 化学(いろいろな化学変化と物質の質量)

 大半は基本的な内容であり、教科書に準じて勉強すれば良いです。 ただ、実験の考察など科学的な思考力を必要とする問題もあるので、それらをいかに得点出来るかが合否の分かれ目になってきます。

参考書のご紹介
 また、入試問題を解くのに必要な事柄を分かりやすくまとめて記載している「参考書」をここでご紹介しますので、合わせてご覧下さい。この本を読んで中の問題を解けば、中学校の3年間で生じた知識の穴を比較的短い時間で埋めることができます。

理科・お薦めの「まとめ的参考書」


文理 1,210円(税込)

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理科の勉強

 理科の難しさとは、何といっても実験問題がたくさん出るところではないでしょうか?教科書で見たことのない実験が出てきたときに、落ち着いてまず「その実験で何をしているのか?」を読み取り、作問者の考えに沿って問題を解いていく必要があります。
 そのために、理科も数学と同じようにたくさんの問題を解いてその形式に慣れていく必要があります。 まず基本の問題である教科書の練習問題は、繰り返し解き直して確実に理解し、確実に解けるようにして下さい。

 私は、中学生のとき、配られた理科の練習プリントを少なくとも3回は解き直していました。 数学は、問題が多岐に渡るため、問題の種類をこなしただけ力が付きます。 これに対して、理科の応用問題は公式の基本の使い方の延長であることが多いので、基本の問題をきっちり理解していることが大事です。

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知識問題の対策

 理科では、要所要所で実験器具や反応などの知識が問われます。 これらは、基本的に教科書で頻度高く載っているものなので、教科書ベースの知識は蓄えておきましょう。
 また、知識問題は0か100かの答えしかないため、特に本番ではわからなかった時のショックが大きいとは思いますが、分からないものは分からないと割り切ることも大切です。 理科は、知識問題以外で十分に挽回がきく科目ですから。

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生物

実験の考察問題

 2022年度第二問5の問題では、実験の対照実験が不十分だった際にどうすれば実験の結果を証明することが出来るかを問われる問題が出ました。
 実験は2つのものを比較することによって結論を出すことができます。そしてその2つのものの間で変えたことによってのみしか結果を語ることが出来ないのです。 具体的に問題を見てみます。

問:B T B溶液の色の変化が植物の働きによることを確かめるための実験条件とB T B溶液の色の観察結果を簡潔に述べよ

 まず、問題で提示されている実験は以下の通りです。

問題の中の実験

 これでは、結論が光の有無によって試験管内のCO2濃度が変化していることになってしまいます。 よって、以下のように試験管Cの条件を変えてみます。

新しい実験

 こうして試験管内のCO2濃度の変化が植物によるものであることが証明されました。

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地学

天球の問題は次元を落として考える

 地球は太陽を中心に公転しながら、地軸を中心に自転しています。 それを、地球上の観察者の目線で切り取った図が、天球です。 これらをいっぺんに考えると、頭がこんがらがりませんか?
 基本的に、人間の頭は3次元に対応していません(もちろん一部の人を除きます)。 ですから、天球のように3次元の図が出てきた問題では、積極的に2次元に変換しながら問題を解いていきましょう。 2022年度第三問4(2)を通して具体的に見ていきます。

問:現在、地球は公転面に垂直な方向に対して地軸を23.4°傾けて公転していますが、地軸の傾きが22°になった時、夏至の太陽の通り道はどのようになるか?

 夏至の日の太陽と地球の位置関係、天球図の仕組みなど知識を複合的に組み合わせて考える難易度の高い問題です。 さて、早速地球の公転も自転も止めて2次元の図を書いてみます。

地軸が23.4°の時
軸が23.4°の時

 そうすると、上図の2つの原則が成り立つことがわかります。 地軸の傾きが22°になった時にこの2つの原則を当てはめてみると、太陽は「自転軸に対して垂直な面を通る」、かつ、高さは90°-22°高い場所を通るということになります。
 ですから、地軸の傾きが23.4°の時と比べると、太陽の動き方は平行だが、地軸より離れた場所を通ることになるので、以下の図のようになります。

天球図
天球図

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物理

「静止=力が釣り合っている」が大原則

 上記の通りですが、静止しているものにおいてどのベクトルで見てみても力が釣り合っていることは知っておくべき大原則です。
 2022年度の第四問3では、台車にかかっている力を斜面に水平な方向と垂直な方向に分解して作図させる問題が出ましたが、このような力学の問題では、問題で問われる前にかかっている力を物体ごとに自分で作図する癖をつけておきましょう。
 今回の問題では、ばねと台車が使われているので、それぞれにかかる力を把握しにいきます。 以下のような図を、余白に書いておいて欲しいです。

物理

 このようにばねと台車にかかる力を整理すると、ばねの伸びは力Tに依存することが分かります。 図2のばねの伸びが1.0cmの時に注目して下さい。 ばねAとばねBにかかる力はそれぞれ1.0Nと2.5Nです。 つまり、ばねAとばねBにかかる力が2:5の時に、伸びる長さが等しくなるということです。

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化学

化学式をマスターする

 化学の勉強は、化学式を全て覚えることから始まります。 そこで生じている反応がわかっていないと、実験の概要が見えてこないからです。
 まだ問題の中に化学式を記載してくれている学校もあるとは思いますが、大学受験の時分では全て覚えていることが前提となって出題されることとなります。 早いうちに覚えてしまいましょう。

過不足のない反応の比率を把握する

 化学は、2つの物質が定まった比率で出会った時に起こる反応です。 片方の物質が明らかに多いとき、余計に反応がすすむことは決してありません。
 ですから、過不足なく物質が反応している時の2つの物質の比率、そして反応による生成物の量をきちんと把握しにいく必要があります。
 よって、2022年度第五問3では、生成した硫酸バリウムのグラフを書かされますが、これは以下に示した状態になっています。 これらのことを踏まえると、問4も問題なく答えることができるはずです。

問3:表をもとに、加えたうすい硫酸の体積と生じた硫酸バリウムの質量との関係を表すグラフを解答用紙の図に書き入れなさい

問4:ビーカーC、D、Eのそれぞれに生じた硫酸バリウムの質量が等しい理由を述べよ

グラフ

 最後の問題も、この「過不足のない反応」を抑えておくことで解くことが出来ます。

問5:うすい塩化バリウム水溶液を45cm³はかり取りました。次にうすい硫酸25cm³をビーカーに入れ、十分に反応させたとき、生じる硫酸バリウムの質量は何gでしょうか?

 過不足ない反応は、以下の通りです。

 塩化バリウム50cm³に対し、硫酸30cm³→硫酸バリウム1.5g生成

 よって、上記の問題の条件では塩化バリウムが過剰であることが分かるので、以下のように反応するはずです。

グラフ

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最後に

 繰り返しになりますが、理科は、まず実験内容を理解し、基本問題を解く力を確実に身につけるようにして下さい。

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