共通テスト【数学Ⅰ・A】解法 & 勉強方法
受験生の皆さん、こんにちは! 仙台市の『名門進学会』家庭教師で東北大学医学部医学科3年の金子 茉央(かねこ まお)です
今日は、大学入試共通テスト【数学I・A】の、高得点を取れる「解法」&「勉強法」をお話し致します。 数学に関しては、難易度や問題構成は以前のセンター試験とあまり変わりませんが、少し雰囲気が変わり、考えさせられる問題になっています。
1. 出題形式
大問5題構成。
第1問、第2問は必答。第3~5問はいずれか2問を選択して解答する。
時間70分、満点100点。
2. 試験の解き進め方
全ての試験について言えることですが、テスト中に一番守らなくてはならないもの、それは「時間」です。 大問5題なので、私は各大問につき最大15分ずつ割り振っていました。 第1問と第2問は比較的典型問題なのでなるべく早く解くようにし、たまに捻った問題の出る第3〜5問に時間を割くようにしていました。
必ず見直しの時間を取る
そして忘れてはならないのは、見直しの時間です! 共通テストの何より恐ろしいところは、ミスをしてしまうとその問題を解ける人が一定数いるために差をつけられてしまうところです。 特に、本番の極限に緊張した環境では何が起こるか分かりません。 必ず見直しの時間は取って下さい。
ミスをしにくい問題を選択する
皆さんは、選択問題何を選んでいますか? 選び方の基準は、問題の好み、得意なもの、ぱっと見の解きやすさなど色々あると思いますが、私は基本的に整数の性質と図形の性質を選んでいました。 なぜならば、答えを出したときにミスをしていない確信が持ちやすいからです。
もちろん、問題の種類によっては確率を選ぶこともありましたが、ミスを減らすべく選択問題を選ぶようになってからは、大分数学の正答率が上がっていきました。 ここら辺の判断基準については、また後ほど書きます。
3. 各大問の対策と試験勉強
私は、センター試験・共通テストの数学は、公式の典型的な使い方を如何に正しく理解しているかが鍵だと思っています。 点数が取れないとき、やるべきことは過去問や予想問題の解説を読み、問題と対応させることです。
どういう条件が出ているときにどういう公式を使っていくのかがおおよその流れがあって、問題の中できちんと誘導されていることに気付くはずです。 以下では各大問についてお伝えしていきます。
A. 大問1(数と式、二次関数、図形と計量)
二次方程式のポイント
まず、二次方程式についてです。 二次方程式を解くコツは、余計な係数を省いてグラフをシンプルに見てグラフの形をイメージすることです。「Y=Ax2+Bx+C」*の形になっているはずです。 2021年の問題では2×2+(4c-3)x+2c2―c―11=0という問題が出ましたが、この場合もA=2、B=4c-3、C=2c2―c―11と見なすことができます。
以下のルールを覚えて下さい
今回の問題でもありましたが、cにある値を代入することは、*のグラフの係数を変化させていることに過ぎません。 係数が変わることは、グラフが平行移動していることに過ぎません。 これを理解するには、以下のルールをぜひ覚えて下さい。
● A>0なら下に凸(逆は逆)。 Aはグラフの形を決める。
● B/A>0ならグラフの軸は負の領域(逆は逆)。 Bが変化するとグラフはx軸方向に平行移動する。
● C>0ならy切片は正(逆は逆)。 Cが変化するとグラフはy軸方向に平行移動する。
これらのルールは、恐らく二次方程式を習ったころに言われたことだと思います。 当たり前のことだと思われるかも知れませんが、この情報さえあればy―xグラフのおおよその位置や動きが把握できます。 そして、求めた答えが大体あっているか視覚的に確認出来ることにより、ミスを減らし自信を持って次の問題に進むことが出来ます。
図形問題のポイント
次に、図形の問題です。 2021年の問題は正方形や三角形の面積をcosθやsinθの公式に絡めて解くという面白い問題でした。 図形の問題は、まずわかる限りの情報(角度や辺の長さ)を図の中に書き込んでください。 その上で、初めて問題を解き始めます。
(3)の問題を例に取ると
2021年(3)の問題を例に取ってみると、△AIDの面積=1/2ac・sin(180-B)=1/2ac・sinB=△ABCの面積となります。 同様に他の三角形も求めていくと、結局△ABCの面積に行き着くという問題でしたが、きちんと情報を書き込んでいくことで三角形の面積を迷わずに導き出すことが出来ます。
(2)・(4)の問題は
また、(2)・(4)の問題は、三角関数の公式に注目します。(2)の問題では、cos A=(b^2+c^2ーa^2)/2bcの余弦定理に注目すると、Aが鋭角か否かによって面積の大小関係が定まることが分かりますし、(4)では外接円の半径が2r=a/sinAで求められることに気づけば苦労せずに問題を解くことが出来ます。
思考力問題に対応するために
共通テストは、思考力が問われるテストと言われています。 通り一遍等の解き方で問題に取り組んでいても解けない問題が、これから先出てくるかもしれません。
色々な解き方を知っておく
私は、学校の授業の一環で、典型問題と言われる易しい問題をなるべく多くの別解を用いて解くということをしていました。 一つの問題を解く際に別解を知っていると言うことは、その問題を色々な視点から見ることが出来ると言うことです。 すこぶる煩雑で時間を浪費してしまう解き方もあれば、魔法のように一瞬で答えが導き出せる解き方もあります。
最良のアプローチをする
受験は、時間との勝負です。 毎回煩雑な解き方をしていれば解き終わらないし、一方で魔法の解き方は使える場合が限られていることが多いです。 そこで、どちらも知っていることが求められます。 自分の知っているアプローチの中からもっとも賢い解き方を選択し、煮詰まった時に最終手段として煩雑な解き方を持っていることが理想です。
もちろん言うは易しなので、そう簡単に問題を達観することはできませんが、余裕がある時に別解を知っておこうとする努力は大切です。 私は、模試の問題で解けた問題であっても一応解説に一通り目を通すようにしていました。
B. 大問2(二次関数、データの分析)
新規単位は定義を確認
2021年度の問題では、タイム・ピッチ・ストライドと言う見慣れない単位が出てきました。 しかし、見慣れない言葉に出会っても焦らず落ち着いて考えることが大事です。 私は、新しく単位を認識する時、必ずその単位を定義する式を確認します。
今回であれば、ストライド(m/歩):一歩で何m進めるのか、ピッチ(歩/秒):1秒で何歩歩けるのか、です。 こうやって単位について自分の頭を整理しておくと、その後に考えさせられる平均速度:1秒に何m進めるのかについても、自然とストライドとピッチを掛け算すれば良いと考えられます。
データ分析は慣れ
まずは、最低限の知識を入れることです。 過去問をいくつか見てみると、自ずと知っておくべきデータの値が分かってくると思います。 私は、この範囲に苦手意識を持っていて模試を解くたびに何かしらの間違いをしていましたが、繰り返し問題に触れるうちに、丁寧に数えてグラフを対応させていけば必ず解けること、そしてパターン問題が多いことに気づきました。
丁寧に解けば解けると言いましたが、これは時間制限のある共通テストですので、いかにこの範囲に時間を割けるかも課題です。
C. 大問3(場合の数と確率)
誘導に乗ること
2021年は、条件付き確率の問題でした。 問題自体は典型問題で、難易度は高くないですが、ポイントは問題の誘導に如何にきちんと乗ることが出来るかです。 会話文の中で作問者が解答者に考えさせたいことを理解して、丁寧に解いていきましょう。 そして、これはチャンスでもあります。
誘導があるということは、普段の考え方とは別の解き方をさせたいと言うことです。 それは、普段の解き方でも解けばもれなく確かめ算をすることになり、答えが一致したら安心して次の問題に進むことが出来ます。
全体の事象の意識
私は、確率や場合の数は、全体の事象を意識して解くようにしていました。 具体的に言うと、確率であれば各事象を足したら1になることであり、場合の数であれば全ての事象を書き出すと言うことです。 もちろん時間のかかる方法ですので最初は普通に解きますが、残りの事象を把握しておくと答えへの自信に繋がります。
D. 大問4(整数の性質)
選択問題としておすすめ
基本的に典型問題が多く、問題文では様々なゲームが提示されつつも、一次不定方程式の整数解を導く問題となることが多いです。 不定方程式を満たす数字を調べること、xとyの一般式を出すこと、xとyの解の範囲に注意することが出来れば、大体の問題は誘導に乗って解いていけるはずです。 大きい値になった時には、計算ミスには注意して下さい。
比較的解きやすくミスも生じにくい上、方程式に当てはめて計算すれば確かめ算も出来るので、私はこの大問を選ぶことが多かったです。
E. 大問5(図形の性質)
完答が難しい
図形は、得意不得意分かれるところだと思います。 個人的な感想としては、テスト中の緊張感の中では気付くべきことに気付けず完答が難しかったので、選択することは少なかったです。
図は正確に
図形問題対策としては2つあります。1つ目は図を正確に書くことです。 長さの大小のみならず角度も鋭角、鈍角、直角いずれなのか正確に書きます。 特に、有名な直角三角形は必ず覚えて下さい。 直角であることに気づけるか否かは、正答率を大きく左右します。
公式は頭に叩き込む
問われ方に対する公式の用い方をきっちり把握しておくことは、とても大事なことです。 例えば、4つの点が円上にあることを示すには?と聞かれたら、方べきの定理の逆か円周角の定理の逆を使えばいいのだなというようにです。 図形上に情報は無限にありますが、使うべき公式は限られています。
公式のアテを初めにつけることが出来れば、図形問題は大分解きやすくなります。
4. 最後に
長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか? 受験生の皆さんの数学試験対策の手助けに少しでもなれば、私としてもとても幸いです。 皆さんは、カリキュラムの変わり目に当たってしまってとても大変な思いをしているとは思いますが、ぜひ頑張って下さい。