東北大医学部6年間の体験記

6年生 卒業に向けて

6年生 選択科実習

 6年生では自分の好きな診療科を自由に選択し、選んだ科で1ヶ月実習を行うことができます。4~7月と9月まで病棟実習なので、合計5つの診療科を回ることができます。

 興味があって志望科のうちの1つとしている科だったり、苦手でもっと勉強してみたい分野だったりと、様々な理由で回る科を選択していきます。

 6年生の実習は楽しい!

 5年生の時と比べて、ローテートする時間も長いですし、自ら希望してその診療科に勉強しにいっているわけですから、先生方も5年生の時より熱心に指導して下さり、知識もだいぶ身につくので、6年生の実習はとても楽しいです。
 ただ、当然5年生も一緒に実習をするため、後輩の前で恥をかくまいと必死に勉強しなければならない、という点ではプレッシャーを感じざるを得ませんが。

親しくなった女医さん

 将来進む科を決めるということは、部活を選ぶということに似ています。学生は各科の魅力や雰囲気を見比べて吟味し、先生方は自分の診療科の魅力を伝えようと学生を勧誘して下さいます。

 基本的には6年生はみんな興味を持っている科を選択するため、先生方も熱く勧誘して下さり、時にはご飯にも連れて行って下さったりするので、先生方ととても親しくなることができます。

 麻酔科の若手女医さんと

 色々な科の先生方と親しくなりましたが、私が特に親しくなったのは麻酔科の若手の女医さんでした。

 麻酔というものは手術中もそうですが、手術の始まりと終わりに大きな仕事がありますから、朝早くに手術室へ行き、帰りは遅くまで残ることになります。

 そのためその女医さんと長い時間ともに過ごしていたわけですが、とても気の合う先生で、勉強の話や麻酔科の魅力についてだけでなく、女医としてのキャリアのこと、結婚出産のタイミングのこと、そもそも女医の結婚率の実際はどうかなどそんな話まで語り合い、まるで姉妹かのように親しくなり、楽しい時間を過ごしていました。6年間の中で、6年生の実習が一番楽しかったです。

6年生 卒業に向けて

マッチング

 病院によって多少異なりますが、どの病院も大体8月半ばに面接試験があります。5年生から6年生の夏まで、この面接にむけて病院見学に通い、先生方に顔を覚えてもらうのです。

 試験の方法は筆記試験があったりなかったり、個人面接だけだったり集団面接があったりと様々ですが、東北の病院は筆記試験がない病院が多いです。みんな大体1~3つの病院の試験を受けますが、どの病院にマッチしたのか結果がでるのが10月頃なので2ヶ月間不安な気分を抱えたまま過ごすことになります。

卒業試験

 東北大学の卒業試験は、10月末に2日間の日程で行われます。卒業試験の問題は国家試験と同じような形式の問題が出題されるため、国家試験対策の勉強を先取りして勉強しているようなものです。他の大学は診療科ごとに分けて何回も試験を行っているところが多いようなので、東北大学のこの一気に試験をするというスタイルは珍しいかもしれません。

 記憶をたどりながら勉強

 試験内容はとても多くて、人間が覚えられる量ではないのではないか疑う程ですが、実習で実際に診察したことのある疾患はやはり記憶に鮮明に残っているもので、あの時あんな検査したな、あんな所見があったな、と記憶をたどりながら勉強をするととてもはかどります。
 そして、問題を解きつつ、半年後の研修医として当直をしている時とかにもしこの問題の症例が運ばれてきたら、と想像するだけで気が引き締まり、勉強にも身が入ります。

 実技試験も同時に

 また、筆記試験だけでなく advanced OSCEという実技試験も同時に行われます。4年生の時の OSCE試験は診察の手順さえわかっていればよいのですが、今度は何の疾患なのか、次にどんな検査が必要なのか、まで答えなければならないため少しハードルのあがった実技試験です。ただ試験監督の先生は大学病院の先生なので、実習で親しくなった先生にあたった学生はラッキーかもしれません。

国家試験

 医師国家試験は、毎年2月の上旬にあります。今後は制度が変わるようですが、2016年度までは試験日程は3日間となっています。
 国家試験にむけて、11月頃から6年生は大学受験生と同じように図書館にこもって勉強をしています。

 東北大生の国家試験の合格率は、新卒だと毎年95%超えととても高いですが、もうすぐ医師になるのだから、国家試験に合格するためだけではなく、自分のためにできるだけ知識を詰め込もうという精神で皆勉強しているのではないでしょうか。

 国家試験が終わると2ヶ月程春休みがあるため、大体の人が海外に卒業旅行へ行っています。研修医になったらなかなか休みがとれないからと、南米など遠い所に行く人が多いようです。

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