東北大医学部6年間の体験記
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2年生前期 組織学に苦戦

 2年生になると一般教養は英語だけで、あとは医学部キャンパスでの専門の授業が中心になります。医学は大きく2つに分けると、“基礎”と“臨床”に分けられますが、東北大学では3年生以下が基礎、4年生以上で臨床を学ぶことになっています。

 入学前まで医学部といったら臨床のイメージしかなかったので、この頃は正直まだ基礎医学に興味がありませんでした。しかしこれも後に間違いだったと気づくことになりましたが、それについては【3年生後期】に詳しく書こうと思います。

2年前期の勉強

 2年生前期の授業科目は医科学、発生、生理学Ⅰ、放射線、組織学の5つです。医学に限った事ではなく学問のすべてがそうだと思いますが、量が膨大、というか底はないので重要なところがどこなのが見極めて効率よく勉強しなければ到底やりきれる量ではありません。

 そこで、先輩から、重要ポイントがまとめられた資料や過去問などをもらうこと、さらに同級生と授業で強調されていた部分がどこだったのかを整理し合ったりすることが重要になってきます。

 効率よく勉強できさえすれば

 複数人と情報を共有し合うのが一番効率的で、よく情報弱者や1人で黙々と勉強するタイプは試験に落ちるなどと言われています。効率よく勉強できさえすれば、2年生前期の大体の科目は、試験にパスすること自体はそこまで難しくありませんでした。

 また、参考書はどれもとても高いし、医学部に入ったらお金がかかるのではとよく聞かれますが、実際参考書はあまり買いません。全部買っていたらきりがありませんし、全部読み込めるわけではないので、皆図書館にある参考書を借りて勉強をしています。図書館で借りて読んで、本当に欲しいと思ったものだけを買えばよいのです。
 また最近では電子書籍も普及しているため、タブレットで勉強する学生が増えてきています。

組織学

 効率よく勉強すれば大丈夫といいつつも、多少苦労をした科目もありました。大学によってどの科目が厳しいのかばらつきがあると思いますが、東北大学の2年前期では組織学が一番厳しいとされていて、これが医学部に入って最初に苦労させられた科目でした。

 人体の組織について学ぶ

 組織学というのは文字通り人体の組織について学ぶわけですが、各臓器によって組織の形や構造はさまざまです。例えば口腔内や食道といった傷つきやすい部分では細胞が何層にも重なっていて分厚い構造をしている、耳や気道などごみが入りやすい部分には毛が生えた細胞がいる、といった具合に様々な特徴をもった細胞が、様々な構造で体内に存在しているわけです。

 授業ごとに各臓器の細胞を実際に顕微鏡で観察し、スケッチをするというタスクが課され、そしてなんとそれをすべて英語で覚えなければなりませんでした。

 英語で覚える作業が苦しい

 私はスケッチをすることに対しては抵抗なく楽しく取り組むことができたのですが、英語で覚えるという作業はただ単調でつまらないものですから苦しい思いをしました。

 細胞の数はとても多く、それをひとつひとつこつこつ覚えていくしかありません。
 テスト前日には夜遅くまでコーヒーを飲んで勉強しながら、なぜ英語なのだとぶつぶつ文句を言っていましたが、実際に臨床の現場にでてみて、英語がわからなければお話しにならない、という現実を痛感しましたので、今となってみれば無理やりにでも英語を覚えさせてくださった先生方には感謝の気持ちしかありません。

 試験は、筆記試験と、プレパラートをみてどの臓器の一部なのかを答える試験の2つがあり、とても緊張しましたが、人生で初めて徹夜で勉強した翌日でしたので、とても眠たかったのを覚えています。

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