物理「電気回路」問題の解き方
皆さん、お久しぶりです! 仙台市の『名門進学会』家庭教師で東北大学医学部医学科3年の金子茉央(かねこ まお)です。
1. 「電気回路」問題はお好きですか?
突然ですが、皆さん物理に苦手意識はありませんか? 私は、中学受験の時、物理は大嫌いでした。 特に「電気回路」です。 とりあえず、オームの法則を使わなきゃ!と使ってみたはいいものの、でもいざとなると何をどのように当てはめていいのか分からず、テストに並列回路の問題が出た日には理科の点数がさんざんになってしまっていた覚えがあります。
私は、こうして電気回路問題に対する大いなる苦手意識と恐れを持って中学に入学しました。 しかし、人は変わるものです。 高校ではむしろ得意範囲となり、テストに電気回路が出ると心の中でガッツポーズをしていました。
2. 心変わりの原因
何がそんなに変わったのかと言いますと、やはり電池回路の状態をイメージできるようになったことが大きいです。 物理は、公式を如何に使いこなせるかの科目です。 そして、使いこなすためには、公式の使える条件をしっかり把握している必要があります。 電気回路の状態をイメージする(把握する)ことで、自信を持って公式を組み立てることができていました。
3. オームの法則は最後!
具体的に話していきます。 電気回路の問題を解くときの主役は、3人います。 電流(I)、電圧(V)、抵抗(R)です。 基本的に(もちろん例外はありますが)この3人のうち1人が欠けていて、最後はオームの法則から答えを出すことになります。 つまり、逆算すると求める答え以外の2人の主役の値は与えられている、もしくは何かしらの形で求められるはずです。
4. 偉大なるキルヒホック先生!
では、どうやって主役を揃えていくのか? ここで、ドイツの物理学者キルヒホッフ先生の出番です。
第一原則:電気回路の任意の分岐点について、そこに流れ込む電流の和はそこから出る電流の和に等しい。
第二原則:電気回路の任意の一回りの閉じた経路について、電位差の和は0である。
文章で書くと分かりづらいですが、すなわちこういうことです。当たり前だなと思えたら、電気回路は一気にシンプルに見えてきます。
キルヒホッフの法則
5. 共通テストの問題
ここで、2021年の共通テストの例を見てみます。 大問2は、コンデンサーを使った問題でした。 コンデンサーの問題の原則は、以下の通りです。
1. スイッチを入れた瞬間と電流が流れなくなった後が設問で問われる(その間の時間は電流の値が一定ではないので、微分が必要になり煩雑になるため)
2. スイッチを入れた瞬間:コンデンサーを銅線に置き換えて考えられる
3. 電流が流れなくなった後:コンデンサー部分は無視する
コンデンサーの状態によって、回路の要素をシンプルに考えます。
コンデンサー回路の置換
問1は上の原則2の状態ですから、以下の状態とみなして考えます。
原則2の回路
今回の設問では、電流の値が問われています。 抵抗の値は与えられていますので、電圧について式を立てていきます。 キルヒホッフの第2原則より、抵抗1と2、抵抗3と4にかかる電圧はそれぞれ等しいです。 オームの法則より、V=R Iですから、抵抗1と2、抵抗3と4を流れる電流の比が分かります。 加えて、キルヒホッフの第1原則より、それぞれの回路を流れる電流の合計は同じです。
キルヒホッフの法則より立式
よって、回路AとBの関係性がわかり、最後に具体的な値を入れてオームの法則の式を解きます。
6. 最後に
いかがだったでしょうか? もちろんこれだけで全部の問題が解けるわけではないですが、コンデンサーやコイルなど応用要素が入ってきても、結局はV=R Iの形に落とし込んでキルヒホッフの法則を使いながらゴリゴリ解いていきます。 皆さんの問題を解く手助けになれば幸いです。 最後まで読んで頂きまして、有り難うございました!