家庭教師の仙台ブログ

東北大学理学部生日記6・電磁波で光速を測定

こんにちは、理学部2年の榎本晴日です。 1月は試験や成人式があり、忙しく過ごしておりました…

 
  
 今回は、今学期どのような授業があったのかを紹介します.

1. 専門科目・地球物理学実験
 私の所属する地球物理学コースのみの専門科目として、「地球物理学実験」がありました. この授業は伝統的に続いているらしく、教員が学生だった時代から存在しているそうです.

 地球物理の研究では、測定機器を製作し、何かを測定し、その誤差について解析する必要があります。 「4年生で配属される研究室での具体的な研究につなげるために、この学期では測定の仕方や誤差の考え方について学ぶ。」というテーマで実験が行われました.

  変動しない物理定数を測定
 具体的にどのような実験を行なったかを紹介します。 この学期のテーマは、「(変動しない)物理定数」でした。 例えば、地球と月を引き合う万有引力に関係する万有引力定数、理想気体の状態方程式 PV = nRTの気体定数Rなどです。
 もっと学年が進んで行うことになる研究では、未知のものを測定することになりますが、今回のテーマでは既に答えが知られているものを測定しています.

2. 電磁波を用いて光速を測定
 私の班では、電磁波を用いて光速を測定しました。 光速は、「299792458 m /s」であることが既に知られています.

 光の速さを測るのにどのような原理を用いたかというと、波の干渉を用いて測定しました。 「光」は、目に見えるものもありますが、他にも色々な波長のものがあります。 これらは、まとめて電磁波と呼ばれています。 電磁波は目で見ることは出来ませんが、波と同じように振動(波動)しながら進んでいます。

そこで、高校物理で習う振動の式

   [波の速度] = [周波数] × [波長]

を使うことが出来ます.

  電磁波の波長を測ればOK!
 今回実験に用いた[電磁波の周波数]は300MHzで、一定でした。 そのため、光速は[電磁波の波長]を測ることが出来れば知ることが出来るのです。 しかし、目に見えない電磁波の波長はどのようにしたら求めることが出来るのでしょうか?

 そこで、波の干渉という現象を用います。 電磁波に限らず、一般の波は重ねあわさると干渉を起こし、定在波になります。 節は[電磁波の波長] の半分の長さごとに訪れるので、節の長さを測定すれば[電磁波の波長] を求めることも出来るのです.

 よって、今回の実験では、定在波の節の位置を測定することになります.

 私の班では、このような実験装置を考えました。

実験装置の図式
  
  
 2本の送信アンテナから、同じ周波数(300MHz)の同じ電磁波を流します。 その2つの電磁波は干渉を起こすので、場所により波の振幅の大きさが変化します.
 今回は電磁波なので、波の振幅の大きさというのは電場強度として現れます. この電場強度を、受信アンテナを使って受信し、測定します.

 と、このような実験装置を、実際に製作しました.

製作した実験装置
  
  
 考えたものを実際に製作するのは、また違う大変さがありました. 私は普段あまり工作はやらないので、ネジを締めたり木を切ったりするだけで一苦労でしたが、同じ班の人が頑張ってくれました(笑)。

 完成した様子が、下の写真です。

完成し広げた実験装置
  
     
  3m弱の装置・屋上で実験   
 装置は、3m弱です。 実験の際には、電磁波は周りの壁や天井で反射し実験に悪影響を及ぼすので、広い場所でやりました。 この写真では、人のいないフロアのエレベータホール前で実験を行なっていますが、この広さでも測定結果にノイズがあったので、最終的には屋上で測定を行いました.

 屋上は手が悴むので、写真を撮る余裕はなかったため、写真がないです。 真冬の一月に屋上で実験を行うのは、非常に辛かったです….

 受信アンテナで受けた電場強度(波の振幅の大きさ)は、このような結果になりました(この図は一例です)。

スペクトルアナライザによる電場強度の例
  
   
 この図は、実験装置の端から端までを、5cmずつずらしながら測定したものです。 波の干渉によって生じる節の位置3点が、よく分かります.

  実験は概ね成功!
 この節の位置をさらに詳しく測定し、それぞれ節の正確な位置を測定して、節を求めました。 誤差の話などは、複雑なので省略します。 実験は、概ね成功しました。 と、こんな感じで光速を測定しました。

 使っている物理は、波の式[速度] = [周波数] × [波長] のみなので、高校生でも理解出来るレベルのものだけです.

  根性による勝利でした
 誤差の話などは少しだけ複雑ですが、それでもあまり難しい数式は使いませんでした。 どちらかというと、測定データを集めるために強風の屋上(1℃)で粘る根性であったり、原因不明のノイズが出てきた時に何が悪いのか試行錯誤したりする事が大事だった気がしました.(笑)

 この学期は、週3日、午後いっぱい実験があり、実験に大きく支配された学期となりました.

3. つまずいても自分で考えるのは楽しい
 先生に指定された方法で行う実験と異なり、計画からすべて自分たちで行なったため、判らない事で詰まる事がたくさんありましたし、上手く行かないことの方が多かったですが、自分で色々と考えるのは楽しかったです.

 次の学期では、テーマは異なりますが、また自然の物理量を測定する実験が週3日午後で行われます。 実験に支配される生活が、もう少し続きそうです。

それでは!
   


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